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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第20章 【第二十話】黒い
セラフィーナは今まで、実の兄よりも兄だと思って接してきた。
実の兄はこちらもやはり、実母とは違うが、セラフィーナを殺そうとしてきた。
「権力なんて要らない。なのになぜ、あの人たちは欲しがるの」
「権力があれば、自分の思いどおりになんでも動かせるからな」
「……面倒」
「だよなぁ。責任がのしかかってくるだけだ」
そう言いつつも、ルードヴィグは魔王という役目をこなしている……と思う。
「でも、書類の不備が多すぎる」
「だからあれはセラを試しているだけだ」
「不愉快」
ムッと顔をしかめたセラフィーナに、ルードヴィグは笑った。
「さて、段取りがついたところで、二人には実行に移ってもらいたい」
「移るのはいいんだが、その偽侍女の場所は?」
「俺の部下が追っている。護衛を兼ねて、魔族をつける。案内させる」
「案内させるとか言って、変なところに連れて行かないだろうな」
まだレンナントは懐疑的なようで、ルードヴィグの言葉を警戒している。
「そんなことをしたら、セラに嫌われる。するわけがない」
「セラフィーナさまに嫌われないのならするのか」
「やったところでメリットはないからしない」
レンナントはその言葉で少しは警戒を解いたようだ。
エドヴァルドとレンナントは執務室から辞した。
「ルードヴィグ」
「なんだ」
「……なんでもない、呼んだだけ」
「そうか? なにか言いたそうな顔をしているが」
「ん。……ありがと」
それは小さな声だったが、ルードヴィグにはしっかり聞こえていた。
「ふむ。自分の欲望のままに行動しただけなんだが、礼を言われると嬉しいものだな」
「欲望?」
「セラフィーナを護るっていう欲望だ」
「それは欲望なの?」
「下心とも言う」
「それ言ったら、台無し」
「セラフィーナとはまだまだ色んなことをしたいからな」
そう言って、色気たっぷりの笑みをセラフィーナに向けた。
「仕事中」
「辛い」
二人がイチャイチャしていると、文官が新たな書類を持って現れたので、仕方がなく中断して、仕事を再開することとなった。
セラフィーナは書類を受け取り、ルードヴィグに渡す前のチェックを始めた。
今度の書類は不備を解消してきたようで、問題なかった。
「ん」
実の兄はこちらもやはり、実母とは違うが、セラフィーナを殺そうとしてきた。
「権力なんて要らない。なのになぜ、あの人たちは欲しがるの」
「権力があれば、自分の思いどおりになんでも動かせるからな」
「……面倒」
「だよなぁ。責任がのしかかってくるだけだ」
そう言いつつも、ルードヴィグは魔王という役目をこなしている……と思う。
「でも、書類の不備が多すぎる」
「だからあれはセラを試しているだけだ」
「不愉快」
ムッと顔をしかめたセラフィーナに、ルードヴィグは笑った。
「さて、段取りがついたところで、二人には実行に移ってもらいたい」
「移るのはいいんだが、その偽侍女の場所は?」
「俺の部下が追っている。護衛を兼ねて、魔族をつける。案内させる」
「案内させるとか言って、変なところに連れて行かないだろうな」
まだレンナントは懐疑的なようで、ルードヴィグの言葉を警戒している。
「そんなことをしたら、セラに嫌われる。するわけがない」
「セラフィーナさまに嫌われないのならするのか」
「やったところでメリットはないからしない」
レンナントはその言葉で少しは警戒を解いたようだ。
エドヴァルドとレンナントは執務室から辞した。
「ルードヴィグ」
「なんだ」
「……なんでもない、呼んだだけ」
「そうか? なにか言いたそうな顔をしているが」
「ん。……ありがと」
それは小さな声だったが、ルードヴィグにはしっかり聞こえていた。
「ふむ。自分の欲望のままに行動しただけなんだが、礼を言われると嬉しいものだな」
「欲望?」
「セラフィーナを護るっていう欲望だ」
「それは欲望なの?」
「下心とも言う」
「それ言ったら、台無し」
「セラフィーナとはまだまだ色んなことをしたいからな」
そう言って、色気たっぷりの笑みをセラフィーナに向けた。
「仕事中」
「辛い」
二人がイチャイチャしていると、文官が新たな書類を持って現れたので、仕方がなく中断して、仕事を再開することとなった。
セラフィーナは書類を受け取り、ルードヴィグに渡す前のチェックを始めた。
今度の書類は不備を解消してきたようで、問題なかった。
「ん」