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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第20章 【第二十話】黒い
セラフィーナはしかめっ面をしていたのを緩め、文官に笑みを返した。
「問題ない」
「あ、ありがとうございます!」
先ほど来た文官より若いようで、セラフィーナの笑みに真っ赤になっていた。
「陛下が最終確認をして、問題なければ署名をして返す」
「はいっ!」
若い文官は元気よく返事をすると、部屋を辞した。
「セラ、愛想は振りまかなくていい」
「ん?」
「俺が狭量なのか? 嫉妬で狂いそうなんだが」
セラフィーナはルードヴィグの机の前に立ち、先ほどの文官にしたのと同じ笑みを浮かべた。
その笑みは自然なものではあったけど、やはり他人行儀さを感じさせるものだった。ルードヴィグはそれはなんだか違うと思った。
「これで満足?」
「……いや」
「できるだけ敵は作らないのがいい」
「分かっている。頭では分かっているんだが」
「ルードだけは特別」
完全に手玉に取られている自覚がありながら、ルードヴィグはセラフィーナにそう言われ、嬉しかった。
「でも、私もルードがきれいな女の人に笑いかけているのを見たら、平静ではいられないかも」
「あぁ、それはないから安心しろ」
確かに、あちこちににこやかに笑いかけているルードヴィグは想像し難い。それでも、そんな要らぬ心配をしてしまう。
「ほら、次がきたぞ」
「ん」
そうしてセラフィーナの執務初日は過ぎていった。
「問題ない」
「あ、ありがとうございます!」
先ほど来た文官より若いようで、セラフィーナの笑みに真っ赤になっていた。
「陛下が最終確認をして、問題なければ署名をして返す」
「はいっ!」
若い文官は元気よく返事をすると、部屋を辞した。
「セラ、愛想は振りまかなくていい」
「ん?」
「俺が狭量なのか? 嫉妬で狂いそうなんだが」
セラフィーナはルードヴィグの机の前に立ち、先ほどの文官にしたのと同じ笑みを浮かべた。
その笑みは自然なものではあったけど、やはり他人行儀さを感じさせるものだった。ルードヴィグはそれはなんだか違うと思った。
「これで満足?」
「……いや」
「できるだけ敵は作らないのがいい」
「分かっている。頭では分かっているんだが」
「ルードだけは特別」
完全に手玉に取られている自覚がありながら、ルードヴィグはセラフィーナにそう言われ、嬉しかった。
「でも、私もルードがきれいな女の人に笑いかけているのを見たら、平静ではいられないかも」
「あぁ、それはないから安心しろ」
確かに、あちこちににこやかに笑いかけているルードヴィグは想像し難い。それでも、そんな要らぬ心配をしてしまう。
「ほら、次がきたぞ」
「ん」
そうしてセラフィーナの執務初日は過ぎていった。