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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第20章 【第二十話】黒い

* * * * *
それから数日は大きな動きがなかった。
唯一動いたのは、アーベルとアリシアの二人のこと。セラフィーナが焚きつけた結果、無事にひっついたらしい。
アーベルからは嬉しそうに報告があったが、アリシアからはないところを見ると、アリシアとしては不本意な結果のようだ。
ルードヴィグとセラフィーナが蜜月の間はセラフィーナの従者がまだ魔王城に到着していなかったためにアリシアが常にそばにいたが、今はセラフィーナの従者も到着して、身の回りの世話をしている。アリシアはセラフィーナの後見人とはいっても、普段は特にすることがないため、本来の業務についている。
……というのは建前であるのだろうと、セラフィーナは思っていたが。
だから執務室にいるのは、ルードヴィグとセラフィーナ、それからアーベルとなる。
「アーベルからはアリシアと結婚すると聞いたけど、肝心のアリシアからは聞いてない」
「アリシアは照れ屋ですから」
「アーベルが汚い手を使ったとしか思えない」
「なにをおっしゃるのですか。セラさまが焚きつけたし、黒いアドバイスをしてくださったから、結婚の約束を取り付けられたんですよ」
「私」
「そうです」
セラフィーナはしばし考えて、それからルードヴィグに視線を向けた。
「諾と言わなくてもとは言っていたな」
「え? 私のせい?」
「いえ、セラさまのおかげですよ」
まさか実行するとは思わないし、アリシアもそれに嵌るとは思ってもいなかった。
「でも、アリシアもアーベルのこと、好きなはず」
「嫌いとはっきり言われましたが」
「……う」
「でも、身体の相性は最高ですし、私は手放せません」
「はい、ごちそうさま」
これが一方的ならばセラフィーナはやっちゃったなーと思うのだけど、そういう感じでもないからいいとする。
「それで、いつから一緒に暮らすの?」
「一緒には暮らしませんよ」
「え?」
それから数日は大きな動きがなかった。
唯一動いたのは、アーベルとアリシアの二人のこと。セラフィーナが焚きつけた結果、無事にひっついたらしい。
アーベルからは嬉しそうに報告があったが、アリシアからはないところを見ると、アリシアとしては不本意な結果のようだ。
ルードヴィグとセラフィーナが蜜月の間はセラフィーナの従者がまだ魔王城に到着していなかったためにアリシアが常にそばにいたが、今はセラフィーナの従者も到着して、身の回りの世話をしている。アリシアはセラフィーナの後見人とはいっても、普段は特にすることがないため、本来の業務についている。
……というのは建前であるのだろうと、セラフィーナは思っていたが。
だから執務室にいるのは、ルードヴィグとセラフィーナ、それからアーベルとなる。
「アーベルからはアリシアと結婚すると聞いたけど、肝心のアリシアからは聞いてない」
「アリシアは照れ屋ですから」
「アーベルが汚い手を使ったとしか思えない」
「なにをおっしゃるのですか。セラさまが焚きつけたし、黒いアドバイスをしてくださったから、結婚の約束を取り付けられたんですよ」
「私」
「そうです」
セラフィーナはしばし考えて、それからルードヴィグに視線を向けた。
「諾と言わなくてもとは言っていたな」
「え? 私のせい?」
「いえ、セラさまのおかげですよ」
まさか実行するとは思わないし、アリシアもそれに嵌るとは思ってもいなかった。
「でも、アリシアもアーベルのこと、好きなはず」
「嫌いとはっきり言われましたが」
「……う」
「でも、身体の相性は最高ですし、私は手放せません」
「はい、ごちそうさま」
これが一方的ならばセラフィーナはやっちゃったなーと思うのだけど、そういう感じでもないからいいとする。
「それで、いつから一緒に暮らすの?」
「一緒には暮らしませんよ」
「え?」

