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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第31章 【第三十一話】魔女の仕業

* * * * *
アーベルはルードヴィグの部屋から辞してすぐに移動魔法でヴィクトルの元へと向かった。
ヴィクトルは寝台と椅子と机しかない質素な部屋で書き物をしていた。
ヴィクトルの髪の毛は茶色のくせ毛で、肩くらいの長さがあった。
「よう」
アーベルの気配を感じたヴィクトルは、書き物から視線を上げずにそう声を掛けた。
「少し待ってくれ、今、書き終わる」
アーベルは部屋の隅に立ったまま、ヴィクトルの書き物が終わるのを待っていた。
部屋の中には、ヴィクトルが動かすペンの音しか聞こえない。
それもしばらくすると終わり、余計なインクを別紙で吸い取ると、クルクルと丸めてアーベルに差し出した。
「これを陛下に」
「分かった」
「なにを気にして来たのか分かるけど、おれも面倒なことは嫌いだ。今回、引き受けたのはケヴィンの魔力が美味しかったからだ」
「ケヴィンも魔力持ちなのか?」
「まー、噂のセラさまほどじゃないが、魔力持ちだな。なによりもひねくれて鬱屈してるのがいい」
ヴィクトルは机の上を片づけながら、アーベルに告げた。
「ただなぁ、王になったらあのねじ曲がった魔力が味わえなくなるんじゃないかと、それが心配で」
「……あなたは相変わらず変わってますね」
「そうしたら、今度はあいつの妻になる女を寝取ってやるかな」
「……ヴィクトル」
「あれ? そうなるとおれとの子ができる可能性もあるからマズいのか」
「そうですよ、もう少し考えてください」
「それなら、閨指南とかいって、潜り込むか」
「…………」
「冗談だって。それにおれ、男色の気はないから心配するな」
「そちらの方がよかったかもしれませんね」
「へー、そうなのか? なら、そうする?」
「あなたはどちらなんですか」
「ご命令とあらば、男とも寝られるよ、おれ」
アーベルはルードヴィグの部屋から辞してすぐに移動魔法でヴィクトルの元へと向かった。
ヴィクトルは寝台と椅子と机しかない質素な部屋で書き物をしていた。
ヴィクトルの髪の毛は茶色のくせ毛で、肩くらいの長さがあった。
「よう」
アーベルの気配を感じたヴィクトルは、書き物から視線を上げずにそう声を掛けた。
「少し待ってくれ、今、書き終わる」
アーベルは部屋の隅に立ったまま、ヴィクトルの書き物が終わるのを待っていた。
部屋の中には、ヴィクトルが動かすペンの音しか聞こえない。
それもしばらくすると終わり、余計なインクを別紙で吸い取ると、クルクルと丸めてアーベルに差し出した。
「これを陛下に」
「分かった」
「なにを気にして来たのか分かるけど、おれも面倒なことは嫌いだ。今回、引き受けたのはケヴィンの魔力が美味しかったからだ」
「ケヴィンも魔力持ちなのか?」
「まー、噂のセラさまほどじゃないが、魔力持ちだな。なによりもひねくれて鬱屈してるのがいい」
ヴィクトルは机の上を片づけながら、アーベルに告げた。
「ただなぁ、王になったらあのねじ曲がった魔力が味わえなくなるんじゃないかと、それが心配で」
「……あなたは相変わらず変わってますね」
「そうしたら、今度はあいつの妻になる女を寝取ってやるかな」
「……ヴィクトル」
「あれ? そうなるとおれとの子ができる可能性もあるからマズいのか」
「そうですよ、もう少し考えてください」
「それなら、閨指南とかいって、潜り込むか」
「…………」
「冗談だって。それにおれ、男色の気はないから心配するな」
「そちらの方がよかったかもしれませんね」
「へー、そうなのか? なら、そうする?」
「あなたはどちらなんですか」
「ご命令とあらば、男とも寝られるよ、おれ」

