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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第39章 【番外編:三】ヴィクトルは愉快な日々を送りたい
 ケヴィンの朝は、かなり遅い。
 陽がかなり昇り、昼前になってようやく起きてくるという体たらく。
 起きてもベッドのうえでしばらくぼんやりとして、ぼんやりするのに飽きた頃にようやく動き出す。
 そうこうしているうちに、昼になる。
 起きたばかりだからなのか、食事も水分とスープのみ。
 それもかなりの時間を掛けて消化する。
 それが終わったと思ったら、またぼんやりする。
 ひどいときはそのぼんやりは夕方まで続き、動いてないゆえに夕飯もかなり軽く済ませて終わりになる。
 夜もずっとぼんやりしていて、いつ眠ったのか分からないほどだ。

 最初はヴィクトルも興味深くケヴィンのぼんやり行動を見ていた。
 ケヴィンは王家特有の白金の髪の色は継承しなかったようで、薄い金髪をしている。
 その薄い金髪はクセがあり、身なりを整えることをあまりしないゆえに伸び放題でもじゃもじゃ。髪が顔の表情を覆い隠すほどだ。
 瞳の色は薄い蒼で、濁った瞳になにを映しているのかわからない。
 ヴィクトルはケヴィンを観察して、なにを考えているのか考えて、楽しんでいた。
 しかし、さすがのヴィクトルもその遊びに三日で飽きた。それでもヴィクトルは仕事だと言い聞かせて、ケヴィンの警護と観察を続けた。

 ケヴィンの警護と観察を始めて三ヶ月が過ぎた。
 そこで分かったことがある。
 ケヴィンは王位継承権第三位となっているが、つまるところ、回ってくる可能性は低い。
 だからそのための勉強をしたって無駄であるし、そもそもがケヴィンにはやる気がない。
 昔はそれでも万が一のことがあるかもしれないと勉強をしてみたのだが、そもそもケヴィンには向いていなかった。

 だからケヴィンはやることがなくて、ただ無気力にぼんやりすることしかなかったようだ。
 それにしても、なにをそんなにぼんやりしているのか。

 たとえその地位が回ってこなくても、無為にぼんやりと暮らすのはもったいないと思わないのだろうか。
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