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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第45章 七*魔族の個人情報保護とは?
 アーベルはため息を吐くと、続けた。

「まったく的外れかもしれないが、蜜月でもなく夫婦でもなくてもナカ出ししても問題ない」
「は?」
「ましてや、それが魔力補給のためであってもなくても、快楽を得られたのなら、それは正義なのだ」
「いや、意味分かんないし」
「そもそも、外出ししても子どもが出来るときは出来る。ナカ出ししまくっても、出来ないときは出来ない!」
「……じゃあ、どうして魔力補給のときの交わりはナカ出し禁止になってるんだ?」
「たぶんだが、父親が分からなくなくすためじゃないか?」
「でもさっき、ナカ出ししなくても子どもが出来るって言ったよな?」
「言った」
「矛盾してないか?」
「矛盾している。……白状する。私もどうしてかは知らない。そして、私も蜜月でもなく、夫婦でもないのにナカ出ししまくった!」
「…………」
「でもそれは、一人の相手に対してだ。複数人とか不特定多数相手にじゃない」
「……もしそうだとしたらおれ、あんたを軽蔑するよ」

 ヴィクトルはがっくりと頭を下げた。
 それを見たアーベルは、小さく息を吐いた。

「とにかく、私はケヴィンからの伝言は伝えたぞ」
「伝言?」
「いつでも帰ってこい、待っている」

 ケヴィンからの伝言に、ヴィクトルはさらにがっくりと頭を下げた。

「ま、帰れる場所があることに感謝しろ」
「…………」

 アーベルはそれだけ告げると、来たときと同じように音もなく消えた。

 ヴィクトルはケヴィンからの伝言を聞いても、動けなかった。
 もう終わったことだ。
 アーベルは問題ないと言っていたけれど、問題は大ありだ。
 やらかしてしまったことは取り返しはつかない。

 だけど、魔族は子どもが出来にくい。
 ヴィクトルの両親もなかなか子どもができず、諦めたところでようやく授かったという。
 思いっきりナカに出しちゃったけど、どうせ子どもは出来ない。
 出来るわけがない。
 あれは過ちだった。

 ヴィクトルは自分にそう言い聞かせて、ふて寝した。
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