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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第7章 【第七話】ウサギとオオカミ
セラフィーナの答えに、ルードヴィグは眉間にしわを寄せた。
「それは違うだろう。必要なければ、だれも殺そうとはしないだろう」
「どうして?」
「では、セラ。目の前にウサギとオオカミがいるとする」
「ん?」
「セラにとって、どちらの生き物が危険だ?」
「オオカミ?」
「そうだな。ウサギについて、どう思う?」
「かわいい……?」
セラフィーナはルードヴィグがなにを言いたいのか分からず、戸惑った。
「ウサギに襲われる心配はないな?」
「そう、ね」
「それと一緒だ」
「一緒って?」
ルードヴィグはセラフィーナの腰を抱いて、顔を覗き込みながら口を開いた。
「セラは俺にとってはウサギだが、城の連中からすればオオカミに見えているんだ」
「私、なにもできないわ」
セラフィーナは特別な力を持たない、ただ護られることしかできない弱い存在だ。
しかし、そう思っているのは、本人だけのようだ。
「果たして、それはどうか?」
「だって、魔法も使えないし、剣も自分の身を守るのが精一杯よ」
「しかし、王家の血を引いている」
「そんなもの、身体から出てしまえば周りを汚す液体でしかないわ」
ルードヴィグはこのまま立って話す内容ではないと気がつき、セラフィーナをベッドに座らせた。
ルードヴィグはセラフィーナの横に腰掛けた。
「セラ、だれも教えてくれなかったのか?」
「なにを?」
「セラの存在価値についてだ」
「レンナントと同じことを言うのね」
その一言に、ルードヴィグは悟った。
セラフィーナは周りが思っている以上に自分に価値がないと思い込んでいる、と。
ルードヴィグは座っているセラフィーナの腰を抱きあげ、自分の膝の上に乗せた。
「きゃっ!」
「セラフィーナ」
急に真面目な声で呼ばれて、セラフィーナは戸惑ったが返事はかろうじて返せた。
「はい」
「おまえは自分が思っている以上にかけがえのない存在だ」
「そんなこと、ないわ」
「俺は今、レンナントとエドヴァルドに感謝している」
「そうね。あの二人は私によく尽くしてくれたわ」
「それがどうしてか、分かっているか?」
「命令されているからでしょう?」
どうしてここまでこじらせてしまったのか。
ルードヴィグはそう思いながら、言葉を続ける。
「違う」
「違わないわ。……私なんて、必要のない存在なのよ!」
「それは違うだろう。必要なければ、だれも殺そうとはしないだろう」
「どうして?」
「では、セラ。目の前にウサギとオオカミがいるとする」
「ん?」
「セラにとって、どちらの生き物が危険だ?」
「オオカミ?」
「そうだな。ウサギについて、どう思う?」
「かわいい……?」
セラフィーナはルードヴィグがなにを言いたいのか分からず、戸惑った。
「ウサギに襲われる心配はないな?」
「そう、ね」
「それと一緒だ」
「一緒って?」
ルードヴィグはセラフィーナの腰を抱いて、顔を覗き込みながら口を開いた。
「セラは俺にとってはウサギだが、城の連中からすればオオカミに見えているんだ」
「私、なにもできないわ」
セラフィーナは特別な力を持たない、ただ護られることしかできない弱い存在だ。
しかし、そう思っているのは、本人だけのようだ。
「果たして、それはどうか?」
「だって、魔法も使えないし、剣も自分の身を守るのが精一杯よ」
「しかし、王家の血を引いている」
「そんなもの、身体から出てしまえば周りを汚す液体でしかないわ」
ルードヴィグはこのまま立って話す内容ではないと気がつき、セラフィーナをベッドに座らせた。
ルードヴィグはセラフィーナの横に腰掛けた。
「セラ、だれも教えてくれなかったのか?」
「なにを?」
「セラの存在価値についてだ」
「レンナントと同じことを言うのね」
その一言に、ルードヴィグは悟った。
セラフィーナは周りが思っている以上に自分に価値がないと思い込んでいる、と。
ルードヴィグは座っているセラフィーナの腰を抱きあげ、自分の膝の上に乗せた。
「きゃっ!」
「セラフィーナ」
急に真面目な声で呼ばれて、セラフィーナは戸惑ったが返事はかろうじて返せた。
「はい」
「おまえは自分が思っている以上にかけがえのない存在だ」
「そんなこと、ないわ」
「俺は今、レンナントとエドヴァルドに感謝している」
「そうね。あの二人は私によく尽くしてくれたわ」
「それがどうしてか、分かっているか?」
「命令されているからでしょう?」
どうしてここまでこじらせてしまったのか。
ルードヴィグはそう思いながら、言葉を続ける。
「違う」
「違わないわ。……私なんて、必要のない存在なのよ!」