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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第11章 【第十一話】餌付け
 さっきまでもっと近くにいたというのに、急に近くになったルードヴィグに、セラフィーナの心臓はドクンと跳ねた。

「どうしてドキドキしている?」
「だ……って! 急に近くなるから!」
「さっきまで繋がっていたのに?」
「そ、そういう問題ではなくて!」

 明らかなからかいに、しかし、そういうことに慣れていないセラフィーナは真っ赤になった。

「セラはかわいいな」
「も、もう! そういうのはいいから!」

 ルードヴィグは明らかに機嫌が良くなり、セラフィーナを抱えたまま、隣の部屋へと移動した。

「陛下」

 隣の部屋へ移動すると、アリシアの声が聞こえた。
 こちらの部屋も仄暗い。
 まさか人がいるとは思っていなかったセラフィーナは、ちょっと驚いた。
 セラフィーナは声がした方へ視線を向けると、アリシアの横にアーベルが立っていた。
 距離があるし暗いけれど、アーベルが不機嫌なことは分かった。

「ルードヴィグ、なにか羽織れ」
「おまえたちしかいないのなら、必要ない」
「いや、それでも常識としてなにか着ろ」

 アーベルに言われて、セラフィーナはルードヴィグが裸のままだったことを思い出した。
 あまりにも自然だったので、違和感がなかったのだ。

「彼シャツをさせるためですか」
「うむ」
「アリシア」
「はい」
「隣の部屋からシャツだけでいいので取ってきてください」
「はい」

 とそこで、セラフィーナはアーベルとルードヴィグが気安く会話していることに気がついた。

「ルードとアーベルは仲良しなの?」
「幼なじみだからな」
「でも、さっきは」
「人前だったからですよ、セラさま」

 ルードヴィグは裸のままでセラフィーナとともに椅子に座ろうとしていたが、アーベルに止められた。

「セラさまを降ろしてください」
「嫌だ」
「まさか食べながらヤルつもりではないでしょうね」
「あぁ、それもいいな」
「よくありません!」

 セラフィーナの拒否の言葉と同時に、ルードヴィグの頭にシャツが直撃した。

「隣の部屋、どういうことですか!」
「どうもない。見たままだ」
「いくら蜜月でも、やりすぎです!」
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