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第14章 【第十四話】婚姻の儀

　セラフィーナの提案に、ルードヴィグは眩しそうに目を細めた。

「別にいいが、恐ろしいほど地味な仕事だぞ？」
「私、書類の整理、得意なのよ」
「そうなのか？」
「ん」

　得意そうなセラフィーナに、ルードヴィグは玉座から立ち上がると、セラフィーナを抱き上げた。

「確かに、手の届く場所にいてもらった方が、安心だ」
「ん」

　そうと決まれば、執務室にセラフィーナ用の机が必要で……。
　それを依頼しようとアーベルを探したが、見当たらなかった。

「アーベルとアリシアは仲良しさんなの」
「ほう」
「私もその、ルードが疲れてなかったら、その……」

　セラフィーナはそう言いながら、真っ赤になっていた。

「あ、でもでも！　一緒に眠るだけしか出来ないから！」
「あぁ、そうだったな」

　ルードヴィグは心配そうにセラフィーナのお腹を撫でた。

「無理をさせたな」
「ん、大丈夫」

　ルードヴィグとセラフィーナは手を繋いで、部屋へと戻った。

　部屋に戻ると、屋敷でセラフィーナの身の回りのお世話をしてくれていた人たちが待っていてくれた。

「こんな遅くまで、ごめんなさい」
「いえ、セラフィーナさまが無事な姿を確認できて良かったです」
「わたしたちも、引き続き、セラフィーナさまの担当として、こちらでお世話になることになりました」
「そうだったの」

　慣れた人たちが周りにいてくれることにホッとしたセラフィーナは、ルードヴィグを見上げた。

「ルード、ありがとう」
「いや、大したことはしてない。みな、セラのことが心配で、ついてきてくれたのだ」
「そうなのね、ありがとう！」

　セラフィーナの瞳には涙が光っていて、ルードヴィグはそっと涙を押さえた。

「みな、こうして着いてきてくれた。お金のためだけじゃない、セラのことが好きだからだ」
「……ん」

　ルードヴィグはセラフィーナを抱きしめ、待っていてくれた者たちに目線で退出するように促した。
　静かに部屋を出て行く者たちと入れ替わりで、レンナントとエドヴァルドが入室してきた。

「セラフィーナさま」