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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第16章 【第十六話】お茶
アーベルの口から、弱音が洩れてきた。
セラフィーナは「ん」と言った後、口を開いた。
「別に諾と言わなくても、いいんじゃない?」
まさかの黒い発言に、ルードヴィグとアーベルは顔を合わせた。
「セラさまが、黒い」
「ん」
「怖いな」
「だって、ぐずぐすしてるアーベルが鬱陶しい」
「黒い!」
「アリシアはいいのか?」
「だって、アリシアもアーベルのこと、気にしてるもの」
そうでなければあんなにもよそよそしい態度は取らないだろう。
「アリシアはきちんと仕事をしてる。でも、アーベルはそうじゃない。私が代わりに仕事をするから、とっととアリシアを落としてきて」
まさかの発破にアーベルは怯んだ。
「だそうだ。アーベル、行ってこい」
「しかし……。セラさまにお仕事を任せるのも悪いですし」
「ぐずぐすしてないで、行ってくる!」
まだごちゃごちゃ言っていたが、セラフィーナは鬱陶しくなってアーベルを部屋から追い出した。
「セラは怖いな」
「怖くない」
セラフィーナはルードヴィグに手を差し出した。
「書類」
「まだだ」
「遅い」
「セラの方が魔王になった方が良さそうだな」
「それは、や」
なんでみんな、あんなに面倒な地位に就きたがるのか、セラフィーナには分からない。
「セラ、少し休憩しておけ」
「ん」
言われてみれば、朝からずっと部屋の中をあちこち回っていて、休憩してない。
「ルードもお茶飲む?」
「セラが淹れてくれるのか?」
「ん」
いつも淹れてもらっているが、セラフィーナもお茶くらいは淹れることができる。
部屋の隅にワゴンが置かれていて、いつでもお茶を飲めるようにされていた。
セラフィーナは茶器を手に持ち、準備を始める。
温めたポットに茶葉を入れ、お湯を注ぐ。しばらく待って、白い茶器にお茶を注ぐ。
「ん?」
ポットから出てきたのは、見慣れた薄茶色の液体。だけど匂いがおかしかった。
「ルード」
「どうした」
「毒」
ルードヴィグは書類から顔を上げ、セラフィーナを見た。
セラフィーナは困惑した顔でポットを持っていた。
「茶に毒が入っているのか?」
「ん」
「セラ、そのままで待っていろ」
「ん」
セラフィーナは「ん」と言った後、口を開いた。
「別に諾と言わなくても、いいんじゃない?」
まさかの黒い発言に、ルードヴィグとアーベルは顔を合わせた。
「セラさまが、黒い」
「ん」
「怖いな」
「だって、ぐずぐすしてるアーベルが鬱陶しい」
「黒い!」
「アリシアはいいのか?」
「だって、アリシアもアーベルのこと、気にしてるもの」
そうでなければあんなにもよそよそしい態度は取らないだろう。
「アリシアはきちんと仕事をしてる。でも、アーベルはそうじゃない。私が代わりに仕事をするから、とっととアリシアを落としてきて」
まさかの発破にアーベルは怯んだ。
「だそうだ。アーベル、行ってこい」
「しかし……。セラさまにお仕事を任せるのも悪いですし」
「ぐずぐすしてないで、行ってくる!」
まだごちゃごちゃ言っていたが、セラフィーナは鬱陶しくなってアーベルを部屋から追い出した。
「セラは怖いな」
「怖くない」
セラフィーナはルードヴィグに手を差し出した。
「書類」
「まだだ」
「遅い」
「セラの方が魔王になった方が良さそうだな」
「それは、や」
なんでみんな、あんなに面倒な地位に就きたがるのか、セラフィーナには分からない。
「セラ、少し休憩しておけ」
「ん」
言われてみれば、朝からずっと部屋の中をあちこち回っていて、休憩してない。
「ルードもお茶飲む?」
「セラが淹れてくれるのか?」
「ん」
いつも淹れてもらっているが、セラフィーナもお茶くらいは淹れることができる。
部屋の隅にワゴンが置かれていて、いつでもお茶を飲めるようにされていた。
セラフィーナは茶器を手に持ち、準備を始める。
温めたポットに茶葉を入れ、お湯を注ぐ。しばらく待って、白い茶器にお茶を注ぐ。
「ん?」
ポットから出てきたのは、見慣れた薄茶色の液体。だけど匂いがおかしかった。
「ルード」
「どうした」
「毒」
ルードヴィグは書類から顔を上げ、セラフィーナを見た。
セラフィーナは困惑した顔でポットを持っていた。
「茶に毒が入っているのか?」
「ん」
「セラ、そのままで待っていろ」
「ん」