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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第18章 【第十八話】「殺す?」
 それならと、セラフィーナはレンナントとエドヴァルドを改めて呼ぶことにした。
 応接間の掃除を使用人に任せて──お茶の片付けには充分気をつけることを言い添えて──、二人は執務室へ移動した。

 執務室に戻るとアーベルの代わりの文官がいて、山盛りの書類を渡された。セラフィーナはそれを受け取り、確認していく。

「これとこれ、不備がある。やり直し」
「はい」
「こっちも。──って、全部、不備書類。駄目、やり直し!」

 ムッとセラフィーナが突き返すと、文官はニヤリと笑った。

「なに?」
「ただのお飾りではないんだな」

 ぞんざいな言い方にセラフィーナは眉を上げて抗議しようとしたが、相手にするだけ時間の無駄なことに気がつき、冷たい視線を送ることにした。

「不備だらけの書類を陛下に決裁していただこうだなんて、職務怠慢」

 セラフィーナは文官に書類を押しつけて、退室させた。
 もちろん、一連のやり取りはルードヴィグも見ていた。なにかあれば口を出そうとしていたが、その必要はなさそうで、ホッとした。

「ルードヴィグ」
「なんだ」
「あれは、駄目」
「セラフィーナを試したんだよ」
「そんなこと、無駄」

 そんなやりとりをしていると、レンナントとエドヴァルドが到着した。
 二人は執務室に通され、長椅子に座った。

「ゆっくり休めたか」
「えぇ、おかげさまで」

 レンナントは相変わらずムッとしていたが、エドヴァルドは大人の対応をしてきた。

「さて、呼びつけて申し訳ないが、時間もないのでサッサと進める。事情があってお茶を出せないが、許してほしい」

 ルードヴィグはそう告げて、これまでの経緯を二人に話した。

「見覚えのない侍女、ですか」
「ん」
「ここに来るために新たに雇い入れたとか」
「ないです。セラフィーナさまの身の回りを世話する者は三名でして、交替で休みを取らせています。そして、森の屋敷に移動したときに雇って、それから三人、変わっていません」
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