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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第19章 【第十九話】独り占め
 それに、とルードヴィグは続ける。

「今はそんなことを問答している場合ではない。セラフィーナの身の安全が最優先だ」
「…………」
「セラフィーナが俺と結婚したことで、王妃は魔族も支配できると勘違いしたようだな」

 そこまでの野心がどこから来るのか、セラフィーナにはまったく分からない。

「これでよく、他国と戦争が起こらないよな」
「そこは陛下が平和主義者でして」
「なるほどな」
「王妃は他国を侵略するべしと鼻息荒く言っていますが、今の平和な状況では少数派です」

 国内が安定しているため、他国を侵略する意味がないということのようだ。
 セラフィーナはこくこくとうなずいた。

「セラフィーナも侵略は反対か」
「ん」
「それゆえに陛下はセラフィーナさまに継いでほしいのです」
「肝心の皇子は?」
「あれは話にならない愚王になる」
「レンナント!」
「本当のことだろう? 取り繕ったところで変わらない」

 他に候補者はと考えていると、ルードヴィグは一人、忘れていることに気がついた。

「セラフィーナの兄は?」
「あの人は王妃の言いなりです」
「やっぱり殺す?」
「セラフィーナ、だからどうして物騒なことばかり……」

 これではどちらが魔王か分かったものではないとルードヴィグだけではなく、エドヴァルドとレンナントも思っていた。

「当分の間は、セラフィーナの身辺に気を付けよう」
「無難なことしかできないのかよ」
「まあ、そう言うな。こちらから仕掛けるのは危険すぎる」
「ん」
「俺は常にセラフィーナと行動を共にする」
「それは却下だ」
「おまえたちでは無理だ」

 それに、とルードヴィグは続ける。

「おまえたちには王妃の動向を探ってほしい」
「私たちは面が割れていますが」
「だからこそ、だ」
「ルード、危なくない?」
「完全に大丈夫とは言い切れないが、高い確率で安全ではある」
「なにをさせる気だ」
「二人には、二重スパイになってもらう」
「どういうことだ」
「向こうに着いた振りをして、向こうの情報をこちらに流してほしい。もちろん、こちら側の情報もあえて向こうに流してほしい」
「それはバレバレ?」
「だろうな」
「意味なくない? 二人が危ないだけ」
「だが、そうでもしないと、どうすることもできないだろう」
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