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第1章 秋月 健人編

「優吾、車からアレもってこい、仕方ないから撮影係やらせてやる」
「了解！ダッシュで行ってくる」

優吾は、敬礼のポーズをすると足取り軽く居間を出ていった。
撮影係と言う言葉に…背筋は凍る。

「あの…お兄さん」
「なんだ？」
「お兄さんと胡桃は付き合ってるのでしょうか？」
「ん？ どう見える？」
何も知りたくない、でも向き合えと言われた事で少し勇気を振り絞った。優吾が居ると話しづらいからと質問するも質問で返された。少し悩んでから正直に思った事を告げる。

「胡桃を脅して、エッチな事をさせてるんじゃないかなって…もし、そうなら…ボクは貴方を許せない」
一生分の勇気を振り絞った。声は震え顔は血の気を無くしていた

「んーっ……………そう見えるか？ うん、まぁそうだよな。でも、俺がここに来て最初に話した事を考えると、違う見方も出来たと思うんだが、もう少し考えてみな？」

優吾兄は視線を遠くに考える仕草をして、考えが纏まったのか語るように話し掛けてきた。

脅されてない？ なら、何故…？ボクは優吾兄が来た時の事を、話した内容を記憶から辿る。1番印象的な言葉は友達になりたいだった。それは凄く気になっていたけど…そこじゃない？
玄関に優吾が居て、優吾兄も居て…居間へ。そうだ優吾がイジメを謝罪しお金を返した…そこから友達になりたいの流れだった。
そうだ、何故イジメを謝罪しお金を返した？
胡桃が優吾兄の恋人になって、胡桃がボクの妹だから？
優吾と胡桃の関係もさっきの事で気になる…俺の知ってる優吾なら、胡桃の裸に近い姿を見たらあんな冷静な対応なんて出来る訳ない…考えられるのは、既に胡桃の裸姿を見てる、画像とかじゃなく生で…。
んっ？ 優吾は女の子好きだけど、緊張するから苦手でもある…あの場面で脱ぐとか言わない気がする…もしかして、優吾は胡で童貞を卒業した？それならあの態度は納得出来る…
そんな優吾が撮影係…撮影と聞くとトラウマが甦る、散々優吾達に悲惨な姿を撮られた。