この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
虐め~差し出した妹が帰って来ない
第1章 秋月 健人編

妹と話したい。でも何を話せばいいか分からない。
この5日間の事は聞きたくないし、胡桃も話したくないだろう
だから、ただ待っていた。
階段から音がする。顔を出してくれるのを願ったけど…ドアが締まる音がした。
風呂上がりに顔を見せてくれるかもしれないと、出てくるのを待った。ドアの音がして…階段を上がる音が虚しく響く…
日付が変わるまで、胡桃が会いに来てくれるのを待ったけど、来なかった。言葉通り疲れていて寝たのかな?と思い1度外に出て2階の胡桃の部屋を見上げると真っ暗だった。その後は戸締りを確認し胡桃を起こさないように気を付けて静かに2階の自部屋に戻った。
明日は学校に行かないと、そうだ…胡桃の為に朝ごはんをボクが作ろう。そう決めて早めの目覚ましを掛けて久しぶりの布団に入って眠りに着いた。 胡桃の事は心配だけど帰ってきた事に安堵し直ぐに眠りについた。
目覚ましが鳴る前に家のチャイムに目が覚めた。時計を見ると7時前…胡桃を起こさない様にとパジャマ姿で玄関に向かった。
ドアを少し開くと優吾がいた。
「わりぃ.こんな朝早くから…」ドアを閉めようとしたら手を入れて来て「ちょっと訳ありなんだよ、中に入れてくれ」と強引にドアを開いた。優吾の後ろに180cm以上のガッシリした体格の強面の男がいた。一目見て優吾の兄だと分かった。
「優吾の兄の猛と言います。君に少し話があって逢いに来たんだ、胡桃の事で…お邪魔するよ」
言い方は丁寧だけど胡桃を呼び捨てにして頭に来る。そしてこの男が胡桃を連れ去り5日間一緒にいた男だと思うと怒りが湧く…でも見た目が怖い為、何も言えず立ち尽くすと優吾は玄関の中に入って来て、続いて兄も…そして靴を脱ぐとボクを置き去りに家の中に入っていった。慌てて後を追うと2人は居間に入り、ソファーにドカッと座る。
勝手な振る舞いに唖然としてるボクを兄が見つめ
「こんな朝早くからごめんね? 健人君だったかな?少し用事があって逢いに来たんだ。でもその前に…」
言葉を途切れさせると隣に座る優吾の頭を思いっきり殴りつけた
「っだぁ…いってぇよ兄貴」
優吾が頭を抑え立ち上がる
「今までイジメでごめんな。許してくれ。もう二度とイジメをしないことを誓う。今まで奪ったお金、足りないけど返す」
優吾がボクに謝罪し現金の入った封筒を手渡してきた。

