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恍惚なる治療[改訂版]
第8章 沼に溺れる
そう指摘され俺は頰を染めて俯いた。
あんな恥を晒して、変な声を出す行為なんかしたく…ない…
「…柳川さんだって好きだと言いながら、結局身体が欲しいだけじゃないですか…」
「…相手への愛情表情の最上級はセックスだと思ってます。相手の身体の隅々まで愛撫して悦ばせる事が僕にとっても至福なんですよ」
不機嫌そうに呟いたと思ったら、急にニヤリと笑って顔を近付けてきた…
「まだ予約まで時間はたっぷりありますから、ホテルにでも行ってセックスしますか?」
「…外でセックスセックス連呼しないで下さい!!誰かに聞かれたらどうするんですか!?……あっ」
大声を出した後で気付くももう手遅れで、周りからジロジロと見られていた…
隣の女性グループからは「きゃー」と悲鳴が上がっている…
さ、最悪だ…
血の気が引いていく俺とは対照的に柳川さんは肩を揺らして笑いを堪えている…
「……」
俺は顔を真っ赤にしたまま、人混みに紛れて話を聞いていた人から離れる。
後ろから柳川さんが足早に付いてくるが、俺は止まらずに歩き続けた。
「佐伯さん、待って下さいよ」
「追ってこないで下さい」
肩を掴まれて振り解こうとした瞬間…
ぐぅぅぅぅ…
「「………」」
「あの、お腹…」
「……ああ、もうっ!!」