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恍惚なる治療[改訂版]
第8章 沼に溺れる

髪の毛をぐしゃぐしゃにかき乱して、やり場の無い気持ちを鎮めようとする。
柳川さん相手だと調子が狂う…

柳川さんは落ち着かない俺の様子を見て、我慢出来ずに吹き出した。

「あははは…」
「笑わないで下さいよ…」
「失礼…佐伯さんが可愛過ぎて…」

破顔する柳川さんを見て、不覚にも可愛いと思ってしまった俺は少し変わってしまったのかもしれない…

「お腹空いてるなら、何か食べましょう。近くに美味しい和菓子店があるので行ってみませんか?」
「は、はぁ…」

柳川さんに連れられやって来たのはたい焼き店で、店の前には女子が多く並んでいた。
店頭に備え付けられた椅子に座り、柳川さんが女子達に混ざって並ぶこと5分、たい焼きを2つ持って笑顔でこちらに来た。

「お待たせしました。どうぞ」
「ありがとうございます…重っ!」

手の平に載せられると、普通のたい焼きでは感じられない重量感があった。
よく見ると、頭から半分切り込みが入れられており、フワフワのたい焼きの生地をめくると、中にはこしあんと生クリームがたっぷりと詰まっている。




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