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恍惚なる治療[改訂版]
第9章 都合のいい存在
弁解しようと肩を掴まれたが、強く振り解いて踵を返し、表通りへと戻って行く。
「佐伯さん違う…」
「付いてこないで下さい!」
小走りに人混みの中に紛れ、立ち止まって振り向くと柳川さんの姿は無かった。
「はぁ…はぁ」
胸が詰まるような息苦しさに襲われ、壁際にもたれると肩で息をする。
気持ち悪い…吐きたいけど、近くにトイレが無い…
「はぁ…」
こんな時、柳川さんが駆け付けて背中をさすってくれるのに…
いや、これからは自分で何とかしないと…
もう、これ以上柳川さんの快楽に溺れるわけにはいかない…
柳川さんが本当に愛する女性が出来た時、俺が居ると邪魔になるし、きっと後悔する…
柳川さんの「好き」という言葉には、相手の気分を良くさせるだけで、本気では無いんだ…
なのに…どうして、泣きたくなるんだ…