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恍惚なる治療[改訂版]
第9章 都合のいい存在
俺が返信しない間に気持ちが冷めているかと思ったら、まだその熱は健在なようだ…
「あなたはバカだ…俺みたいな男に執着しても何も得する事なんて無いのに。医者なら出会いなんていくらでもあるでしょう。俺に時間を使うより、女性と付き合って幸せになる方が良いに決まってるのに…」
ゴンッ…
言い終わらないうちに乱雑にグラスを置く音が響き、話し声も物音もシンと静まり返った…
「あなたは何がしたいんですか?僕の気持ちを逆撫でして、それで僕が引くと思ってるんですか?そんな事で気持ちは無くならない。それくらいあなたに夢中なんだ。女性と付き合えば幸せ?違いますよ。好きな人と添い遂げるのが僕にとっての幸せなんですよ。幸せかどうかは僕が決める…」
酒が回って饒舌になってきた柳川さんは追加でカクテルを頼み、潤んだ瞳で俺をジッと見つめてきた。
ダメだ、この目が…俺を魔法に掛けるんだ…
「佐伯さんは僕の事どう思ってるんですか?まだ友人止まりですか?」
「どうして?」
「僕を引き離そうとしたり、女性と付き合えなんて言ってきたり…あなたの本心が見えない…教えて下さい、本当はどう思ってるのか…僕があなたの心が欲しい」