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恍惚なる治療[改訂版]
第9章 都合のいい存在
柳川さんの怒りに気が付いたのか、後退りして席に戻って行った。
「あなたもどうしてキスされてるんですか?拒否なりなんなりして下さいよ」
「いや、抱き付かれて引き離せなかったから…」
次にその冷たい視線を俺に向けられ、その気迫に背筋が凍った。
俺の手首を痛いくらいに掴んでカウンターに1万円札を叩き付けた。
「ご馳走様でした」
「は、はい…」
柳川さんにビビった店員が震える手でお釣りを渡すと、そのまま外に連れ出された。
傘を持たずに店の傍にあ?狭い路地に連れて行かれると、壁に力任せに押し付けられた。
壁からじっとりと冷たい感触が背中に伝わり、雨粒に服が濡れていく。
そんなのをお構い無しに柳川さんに顎に手を添えて唇を塞がれた。
息吐く暇の無い濃厚なキスに頭がクラクラして、唇を嫌という程舐められる。
「はぁ、ああ…」
「あなたにめちゃくちゃ腹が立ってるんですよ。男性にキスされてるのを見て、今まで感じた事の無いくらい嫉妬しました」