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恍惚なる治療[改訂版]
第9章 都合のいい存在

「あー、ビショビショですね…」
「すぐに傘差せば良かったのに…」
「すみません、それくらい我を忘れてたんで…」

結局、またまともに答えられないまま柳川さんと近くにあったラブホテルへ足を踏み入れた。
真夏とは言え、濡れた身体はしばらくすると冷え始めたので、暖を取る為にバスローブを着て、脱いだ服はハンガーに掛けて乾かす。

ちなみに、射精して汚してしまった下着は柳川さんにコンビニで新しいのを買ってもらった。

「明日までに乾きますかね?」
「多少は湿っているでしょうね。まあ、朝になったら着替えに帰りますから少し濡れていても平気です」

ベッドに座ると、柳川さんは少し距離を取って、同じように座った。
俺のせいとは言え、その距離がもどかしい…
柳川さんは立ち上がると、浴室に向かった。

「お風呂溜まりましたよ。入ってきて下さい」
「いえ、柳川さんから先に…」
「僕は大丈夫なので、お先にどうぞ」

お言葉に甘えて、先に風呂に行かせてもらった。
丸いフォルムの浴槽は広々としており、脚を思いっきり伸ばして、肩まで浸かる。




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