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恍惚なる治療[改訂版]
第9章 都合のいい存在
柳川さんの肩に頭を乗せて目を瞑る。
柳川さんが今どんな顔をしているか確認出来ないが俺は言葉を続ける。
「柳川さんが女性に迫られているのを見て、嫉妬したし、怖かった…もし本気になった時にフラれたら俺は立ち直れない…だから、それ以上踏み込まないようにしようとしていた…でも、無理なんですよ。あなたの事を想うだけで胸が苦しくなって、身体が熱くなってあなたが欲しくなる…自分の気持ちを偽るのに疲れた…これが人を好きになるって事なんですかね…」
瞼を開き、頭をもたげて柳川さんの様子を伺うと、笑っているような、泣いているような、何とも言えない複雑な表情をしていた…
「それが好きという感情ですよ。恋をすると、 その人の事を想うだけでうれしくなったり苦しくなったり、他の人と話しているだけで嫉妬して、離れたくなくなる、独占したくなる…好きというのは綺麗な感情ばかりじゃありませんよ…」
身体を離して向き合い、目を合わせる…
「佐伯さん好きです。僕と付き合ってもらえませんか…」
「……」