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恍惚なる治療[改訂版]
第10章 ただの口実
乾杯して、ハイボールを身体に流し込む。
昼間から酒を飲むなんて初めてで、その背徳感から余計美味しく感じる。
早速枝豆に手を伸ばすと、柳川さんから箸で取るよう言われその通りにすると、枝豆がテカってるような気がする…
「茹でて水切りした枝豆をニンニクを入れたごま油で炒めて、中華調味料で味付けした料理です。前に動画で見て美味しそうだったので、真似してみたんです」
食べてみると、パンチの効いた味で、塩茹でした枝豆とは全く違う美味しさだ。
これは酒が進む…!
「枝豆の味が濃いんで、唐揚げは塩味でニンニクはかなり抑えました」
「唐揚げもサラダも美味いです。ドレッシングも手作りですか?」
「これは市販です」
「どれも美味いです。用意して下さってありがとうございました」
「喜んでいただけて嬉しいです。あっ、そうだ」
柳川さんはテレビとブルーレイデッキの電源を付けると、ディスクの箱を取り出した。
「好きなバンドのライブ映像があるんですけど、一緒に観ませんか?」
「…俺バンドって分かんないんですけど…」
「このバンドはCM曲に起用される事が多いので、佐伯さんも知ってる曲があるかも知れませんよ」