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恍惚なる治療[改訂版]
第11章 晩夏の甘い思い出
「佐伯さんって浴衣着られるんですね」
「作品の資料作りに着付けを学んでいたら、1人で着られるようにはなりました」
「へぇー」
返事をしながらも、柳川さんは横目で浴衣姿を眺めてくる。
「何度もと見られると、流石に恥ずかしいんですが…」
「いつもと違う格好なんで、ドキドキしちゃって…」
ここまで喜んでもらえるとは思ってなかった…
しばらく歩いていると、人が増えてきて、浴衣姿の男女や子どもの姿が…
「ここです」
神社に着くと、道の両端には出店が所狭しと並んでおり、多くの人が行き交っている。
人が密集しているわけでは無く、程良く間隔があるので、俺でも人に飲まれる事なく楽しめそうだ。
「このくらいの人なら平気ですか?」
「はい」
「気分が悪くならないよう、僕に集中する為に手繋ぎますか?」
「繋ぎません!」
人の目がある場所でイチャイチャしようとして…
「佐伯さん、待って下さい」
先へと向かうと柳川さんが慌てて追い掛けてきた。