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恍惚なる治療[改訂版]
第11章 晩夏の甘い思い出

「怒らないで下さい」
「怒ってないですよ。治療もするんですから」
「そうですね。治療とデートです…僕達が付き合って初めてのデート…」
「付き合って……?」

………アレ?
そういえば、柳川さんから交際を申し込まれた時に俺ってきちんとした返事したっけ?
何かしら理由を付けて返事してなかったような…

血の気が引いていく中、柳川さんは楽しそうに出店を眺める。

「佐伯さん、ここのたこ焼き美味しそうですよ、1つ買っても良いですか?」
「は、はい…」

どうする…交際の返事をしてない事をきちんと言うべきか…
柳川さん浮かれてて気付いてなさそうだから言わなくてもいい…

いや、もし黙ってるのがバレて柳川さんがガッカリされたら、嫌われるか…

「…きさん、佐伯さん」
「はいっ」
「どうされましたか?気持ち悪くなりました?」
「違います…何食べようか迷ってただけで…」
「そうなんですね。何か食べたいものがあれば僕が買いますから仰って下さいね」
「いや、自分が欲しいものは自分で買いますから…」




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