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恍惚なる治療[改訂版]
第11章 晩夏の甘い思い出

柳川さんは先程購入したたこ焼きのパックを手にし、爪楊枝を刺して俺に渡してくれた。

「んん、美味い」
「僕も…たこが食べ応えがあって美味しいですねー」

満面の笑みを浮かべる彼の口元にはソースが付いており…

(……舐めたい…)

…ヤバい、何考えて…!?

「や、柳川さん…ソースが…」
「ん?ああ、すみません」

ペロッと舐め取る仕草が、セックスした時の表情とダブり、思わず目を逸らした。

治まっていた淫らな気持ちが再燃しそうだ…

「佐伯さんと夏らしい思い出が出来て良かったです。今年も海や祭りなんて行かないと思ってましたから」
「祭りは毎年来てるんじゃないんですか?」
「いや、開催してるのは知ってたんですけど、1人では来ようと思わなかったです。だから今日は沢山楽しみましょう」

たこ焼きを頬張りながら楽しそうに誘う柳川さんを見て、嬉しさが伝わってくる。
俺と来られて嬉しいなんて、やっぱり好きっていうのが大きいのだろう…
俺も…来たばかりなのに、楽しくなってるのは否めない。

出店をいくつか回っていると、タピオカミルクティーやチーズドッグなど、若者向けの商品も増えており、昔とは違っている。




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