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恍惚なる治療[改訂版]
第11章 晩夏の甘い思い出
「昔とはえらい違いですね」
「昔って…佐伯さんいつから祭りに行かれてないんですか?」
「最後に行ったのが、父親に連れて行ってもらった以来だから…20年位ですかね?」
「20年…まぁ、それくらいだと様相も変わってるでしょうね…」
柳川さんとの会話で、父親と祭りに行った記憶が蘇り、懐かしい気持ちになった。
あの頃は楽しかったけど、今も楽しい…
好きな相手と一緒に居られるのがこんなに嬉しいなんて…
「うーん…」
時間が経過すると共に人が増えてきて、ごった返してきた。
女性との接触を避けていると、柳川さんがベビーカステラの出店を指差した。
「佐伯さん、あそこに並んで小サイズを買ってきてくれませんか?」
「おつかいですか…でも…」
カステラを買いに行くのはいい、俺も好きだし…
だが、そこには女性ばかりが並んでおり、俺は気後れする…
「接触しないようにすれば良いだけです。女性に慣れる為の大事な治療ですよ。頑張って」
「はあ…」
「気分が悪くなったら、人が少ない場所で休憩しましょう」
柳川さんに背中を押され、無理矢理カステラの列に並ばされた。
俺が並ぶとすぐ後ろに女性2人組が並び、女性に挟まれる格好となった。