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恍惚なる治療[改訂版]
第11章 晩夏の甘い思い出
「佐伯さん!」
しばらく待っていると、柳川さんが息を切らしてこちらに駆け寄ってきた。
「柳川さん、すみま…!」
立ち上がると同時に、柳川さんに抱き締められる。
柳川さんの匂い、体温に包まれ、ささくれだった気持ちが落ち着いていく…
「すみません、離れてしまって…飲み物を買おうと自販機に行っていて…戻ると佐伯さんの姿が無くて焦ってました…」
「俺もすみません…女性と接触してしまって、落ち着く為にここに…」
身体を離すと、2人で土台の石に座った。
柳川さんの手には缶コーヒーが握られており、1つ渡してくれた。
「もう大丈夫ですか?」
「はい。柳川さんの顔を見たら安心しました…」
コーヒーの香ばしい香りを嗅いで口を付ける。
スッキリとした苦味が口いっぱいに広がる。
「はぁ…」
「柳川さん…?」
「ダメだな…2人きりになると、自分の気持ちをどうやっても抑えられない…」
呟くと、身体を柳川さんの方に向けられ、ジッと見つめられる。
綺麗な目で見つめられ、何事かと思って見つめ返していると、不意に柳川さんにキスをされた…