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恍惚なる治療[改訂版]
第12章 熱に浮かされて
宇佐美さんが診察室から出て行くと、佐伯さんの体調が気になった。
あれから特に連絡が来てないという事は、体調は落ち着いたのかな…
…佐伯さんの事だから、僕に心配掛けまいと連絡してこないとか…
「…気になる」
佐伯さんに連絡するタイミングを見計らっていると、患者さんがどんどんやって来て、それどころでは無かった…
結局電話を掛けられたのが仕事終わりになってしまった…
(大丈夫かな…)
プルルルル…
「佐伯さん」
「あ、柳川さん…」
電話の向こうから聞こえてくる声は酷く掠れていた…
「佐伯さん、やはり風邪を引かれたんですね。すぐに向かいますから寝てて…」
ゴトン…
何か落下する音が聞こえ、佐伯さんの声が聞こえなくなった…
これはまずいんじゃ…
僕は急いでタクシーを呼んで、佐伯さんの住むマンションに急いでもらい、途中でドラッグストアで薬やゼリー飲料、氷など必要な物を購入した。
「ありがとうございました」
タクシーから降りて、佐伯さんの部屋の前に着いて、1度インターホンを押して、反応が無かったのでドアノブを回してみた。
「開いてる…随分不用心だな…」