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恍惚なる治療[改訂版]
第12章 熱に浮かされて
「お邪魔しますよ」
恐る恐るリビングに入って周りを見渡すも佐伯さんの姿は無く、隣の仕事部屋兼寝室を覗くと、テーブルに突っ伏した佐伯さんが…!
「佐伯さん!?大丈夫ですか!?」
「やながわさん…」
佐伯さんをテーブルから抱き上げると、焦点の合わない虚な目で僕を見つめてくる。
パソコンは付きっぱなしで、今まで仕事をしていたのかと佐伯さんを見る。
「昨日ちゃんと休まれたんですか?」
「いや…実はあの後メールを確認したら、来週締め切りだと思ってたのが、本当は明日だっていうのが分かって…それでさっきまでずっと…」
目の下にはくまが薄らと現れており、寝ずに仕事をしていたのかと少し呆れる…
「締め切りを延ばしてもらえて良かったのに…」
「いや、締め切りを延長してもらうと向こうに迷惑が掛かるから…今回は締め切りを確認しなかった俺が悪いんで…」
仕事熱心なところも好きだが、体調を崩した状態で徹夜で仕事をするなんて…
「書き終えたんですか?」
「はい、柳川さんから連絡が来る少し前に…柳川さんの声を聞いたら気が抜けて、気を失っちゃって…」