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恍惚なる治療[改訂版]
第13章 俺に出来る事
「佐伯さん、それは…」
「柳川さんすみません!昨日の彼女は柳川さんが思ってるような関係じゃないんです!彼女は家事代行サービスの人で、昨日は料理を教えてもらってただけなんです!」
グチャグチャな気持ちのまま早口で弁解していると、柳川さんに抱き締められた。
「佐伯さん、分かりましたから落ち着いて…」
「でも…」
「あの時一瞬気持ちが昂ったのは否定しません。でも、帰ってから佐伯さんを傷付けたんじゃないかと僕も不安になったんです…」
「そんな…」
泣きそうになっていると、柳川さんは身体を離して、俺が持っているバッグに目を付けた。
「佐伯さん、この袋は…」
「えっと…実は柳川さんの為に弁当を作って…作り立てで保冷剤を入れてあるから傷んでない筈…」
柳川さんは感嘆の声を上げながら、俺からバッグを受け取った。
「これ、佐伯さんが…」
「はい。柳川さんにはいつもお世話になってるから、何かあなたにしたいと思って…昨日の彼女に弁当の作り方を教えてもらったんです」
不安な気持ちで柳川さんの顔を見ると、目を輝かせて中の弁当箱を眺めていた。
「部屋に入りましょう。早く食べたい…」