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恍惚なる治療[改訂版]
第13章 俺に出来る事
部屋に入るとすぐに柳川さんはテーブルに弁当を開け、中身を見て「凄い…」と漏らした。
「佐伯さんが全てお1人で作られたんですよね?」
「はい、不格好で恥ずかしいんですが…」
「いえ、料理をされない佐伯さんがここまで美味しそうなお弁当を作られるなんて…」
柳川さんは唐揚げを箸で摘んで齧ると、キラキラとした笑顔を向けた。
「美味しいです!」
「本当ですか?良かった…」
毎日味見ばかりしていたから、美味しくなっているか不安だったが、柳川さんに美味しいと言ってもらえて嬉しい…
「卵焼きも美味しいなぁ…僕甘いの好きなんですよ」
「そうなんですか?柳川さんの好きな味付けを当てられたんだ…」
その後も「美味しい」と連呼しながら食べ進め、米粒1つ残さずに弁当を完食してくれた。
「ご馳走様でした。美味しいお弁当を作って下さってありがとうございました」
「いえ…」
柳川さんに喜んでもらえた…
作って良かったと心がじんわりと温かくなる…
「佐伯さん、こっちに来て…」
ソファに座り直して、コーヒーを用意してもらった。
柳川さんの隣に座ると、首に腕を回して抱き寄せられた。