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第14章 古傷

「とりあえずタクシーを拾ってきますので、佐伯先生は彼女の傍に居て下さいませんか？すぐ戻りますので…」
「まっ、待って…」

田宮さんはさっさと駅の方に向かってしまい、俺は女性と2人きりにさせられてしまった…

どうする…
彼女に異変が起きても俺には対処出来ない…
田宮さん早く戻ってきてくれ…

「ううう…」
「だ、大丈夫ですか？」
「み、水を…」
「あっ、すみません…」

水を渡すのをすっかり忘れていた…
ペットボトルを持った手を伸ばすと、女性は覚束ない足取りで近寄ってきた。
すると、彼女の足がもつれて、俺にもたれかかってきた……

「す、すみません…」
「……っ！！」

身体が硬直し、女性を突き飛ばす事が出来ず、不快感が全身に回り、今にも吐きそうになる…
意識が遠のき、女性を抱えたまま後ろに倒れた…

ガッ…

「うっ！ぐぁぁ…」
「すみません、お待たせしま…佐伯先生!?大丈夫ですか!?」

痛みで意識を取り戻したが、すぐに目の前が真っ暗になった…