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恍惚なる治療[改訂版]
第15章 身体を重ねる
初めて柳川さんと出掛けたショッピングモールに着くと、前回服を購入した店に向かった。
店に着くと早速柳川さんがいくつか洋服をピックアップして、俺の身体に当てて似合うかどうか確かめる。
「んー、白も良いけど、やっぱり黒かな?」
「俺も黒の方が良いです」
「じゃあ、黒にしましょう」
柳川さんに選んでもらった服の中から俺が気に入った物を購入した。
「前回も服選んでもらいましたよね」
「そうでしたね。佐伯さんはどの服も凄く似合ってるので、購入する服を選んでもらうのが大変です」
「そこまでですかね?」
店から出て並んで歩いていると、不意に左手にひんやりとした感触が…
「…!?」
視線を落とすと、公共の場で手を繋がれていた!
ナチュラルに手を繋ぐ柳川さんに開いた口が塞がらない…
「や、柳川さん…」
「はい?」
「て、手!」
「あー、人が多いから、もしぶつかってバランスを崩して転んだら危ないと思って…」
「…あの、結構見られてますよ」
「?」
「周り、目立ってますよ」
「あっ」
俺が注意して初めて周りを見渡し、他の客から見られているのに気が付いたようだ…
この人には周りの視線が気になってないのか!?