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恍惚なる治療[改訂版]
第15章 身体を重ねる
帰宅すると、柳川さんは晩ご飯の買い出しに出掛け、俺はベッドでボーッとしていた。
柳川さんが帰ってきた事にも気付かない程、俺は考え込んでいた…
「佐伯さん、どうしたんですか?」
「あっ、お帰りなさい」
「今日は親子丼を作ろうと思うので、明日の昼食に食べて下さい」
「ありがとうございます」
そのまま柳川さんも俺の隣に腰を下ろした。
「考え事ですか?」
「はい…」
「昔の事ですか?」
「…聞いてもらっても良いですか?」
その言葉に柳川さんは少し驚いた様子を見せ、すぐに頷いてくれた。
「話しても平気かとずっと考えてたんです。柳川さんに話しても引かれないか心配で…」
「引きませんよ。大事な話なんですから…」
「ありがとうございます…」
「苦しくなったらすぐに話すのをやめて下さい」
俺は前をジッと見据えたまま、口を開いた。