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恍惚なる治療[改訂版]
第15章 身体を重ねる
柳川さんの言葉1つ1つが俺の胸に響き、乾いた心の傷に染み込んでいく…
「こ、んな話、下らないと言われるんじゃないかと思って、ずっと誰にも言えなかった…こんな事で悩んでる俺の方がおかしいんじゃないかって…」
「あなたはおかしくもないし、下らない話で片付けられるものじゃない…事件の後、適切なカウンセリングを受けていれば、今も女性相手に苦しむ事も無かったのに…もう大丈夫です。僕が最初の味方になりますから」
柳川さんの言葉にどれだけ救われるか…
涙が止まらなくなり、俺は柳川さんの肩に顔を埋め、柳川さんは俺の背中をさすってくれた。
「う、ううっ…」
「今は沢山泣いて下さい、ずっと我慢していた分だけ。少しでも楽になるなら、僕の身体をいくらでも貸しますよ」
しばらくして泣き止むと、グシャグシャになった顔を上げると、柳川さんは微笑みながら俺の顔を拭いてくれた。
「すみません、服濡らしてしまって…」
「いえ。それよりもう平気ですか?」
「はい、ありがとうございました…」