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恍惚なる治療[改訂版]
第2章 最初の治療
「あっ、すみません…」
「……っ!」
女性はすぐに人混みに消えて、触れたのは1秒程だが、身体には女性がぶつかった時の胸の感触が残っており、胃の中の物が迫り上がってきて、気持ち悪くなってきた。
(ヤバい…!)
人混みをかき分け、何とかトイレに駆け込むと、便器に吐き出した。
「はぁ、ふぅ…」
女性に対してこんな状態になるのが、世の女性達に申し訳なく思ってしまう。
あの女のせいで…
しばらくトイレで休憩してから外に出ると、壁際に寄りながら駅から抜け出した。
『文令社』
目的のビルのフロアを確認して中に入り、受付で用件を伝えた。
「佐伯です。『新緑』の田宮さんお願いします」
そこは俺が作家としてデビューしてから、今もお世話になっている出版社で、今はそこの『新緑』という雑誌で連載を持たせてもらっている。
2.3分程待つと、担当編集者の田宮さんが降りてきた。
「おはようございます佐伯先生。こんな朝早くに呼び出して申し訳ありません」
「いえ…」