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恍惚なる治療[改訂版]
第5章 彼の素顔
「佐伯さんはどうしてここに?ああ…恋人のフリでしたっけ?まだやってるんですか?」
「いや、今終わったばかりですけど…柳川先生は…」
「柳川せんせー」
急に柳川先生が離れたかと思うと、三雲さんと同じくらいの若い女性が柳川先生に腕を絡ませ、しなだれかかった。
「アレー?この人誰ですか?」
「私が受け持ってる患者さんですよ」
「そうなんですか?ねえそれより、早く2軒目行きましょうよー」
身体を擦り寄せ、柳川先生に甘える彼女を見てある事を思い出した。
この人が例の彼女か、若い人引っ掛けたんだな…
「いや、私はもう帰ります」
「「えっ…」」
先程まで俺に話しかけてきた声のトーンが変わり、女性には普段の低い声質で話していた。
彼女、2軒目行く気満々なのにこの人冷め過ぎだろ…
「ええ!?先生から2軒目に誘われたのに〜」
「気分が変わりました。早く帰りましょう。それにあなたは明日も仕事でしょ?綺麗な顔が浮腫んだら可哀想だ…」
「柳川先生…」
柳川先生は女性にタクシー代を手渡すと、あっさりと帰してしまった。
彼女もあっさり帰るのか…
「あの、俺邪魔でした?」
「いえ、彼女は同僚の看護師で何でも無いですよ」
「そうなんですか」
彼女は別に居るんだ…
柳川先生は再び寄り掛かってくると、ボディタッチを繰り返してくる。
「それより、佐伯さん今からお時間ありますか?少し付き合っていただきたいんですが…」
「えっ、帰るんじゃないんですか?」
「ダメですか…」