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恍惚なる治療[改訂版]
第6章 男性同士
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柳川先生に誘われて行く先は、郊外から少し離れた場所にあるショッピングモール。
「人が多い所無理なんですけど…」
「大丈夫です。もし何かあれば僕が対処します」
最初は断っていたのに、医師としての一面を見せられ、結局出掛ける事になってしまった…
休日の人の多い場所に出向くのが、治療と何の関係があるんだ…
バスに揺られながらそう思っていると、前の席に座っているカップルの女性の方から甘ったるい香りが…
恐らく香水なのだろうが、匂いがキツくて頭が痛くなってきた…
今更席も立てず、仕方なく口呼吸をしていると、柳川先生がスマホの画面を見せてきた。
[前の方の匂い、気になりますか?]
先生は俺の変化に気付いていたのだろう…
小さく頷くと、先生はポケットからハンカチを取り出して俺に差し出した。
「これを鼻に押さえて…少しはマシになると思います」
「ありがとうございます…」
タオルで鼻と口を押さえると、微かに柔軟剤の香りが鼻腔を擽る。
この匂い落ち着く…
匂いに過敏な俺でも落ち着けるくらい、この匂いが心地良かった。