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恍惚なる治療[改訂版]
第2章 最初の治療

高校の頃から趣味で執筆していた小説を仕事にしようと、高校卒業後はバイトをしながら執筆活動を行い様々な雑誌に投稿し、24歳で『新緑』でデビューを果たしてからは細々と生活をしながらも、ある程度は家事を行えていた。

しかし、2年前から連載を開始した大正時代を舞台にした探偵小説『朝間 藤治』がヒットしてからは、それまでの生活が一変した。
締め切りに追われるうちに、食事が簡素なものとなって、栄養食やカップ麺など偏ったものになった。

半年経過してからこの食生活では身体を崩すと心配になり、栄養のある料理だけでも用意してもらおうと、家事代行サービスを利用する事に。

『初めまして、三雲 穂波と申します。本日から佐伯様のご自宅で家事代行をさせていただきます』
『ああ、よろしく…』

やって来たのは、小柄な女性で…発作が起きないか俺はヒヤヒヤしたが、俺の心配とは裏腹に発作は起きなかった。
美味しいご飯を作ってくれて、部屋に篭ってばかりの俺にも優しく接してくれて、俺は初めて女性に対して心を開けたように思えた。

三雲さんは清楚な感じで性的な部分を一切出さなかったから、俺も症状が出ずに穏やかに生活を送れていた。

…あの出来事が起こるまでは…



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