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セイドレイ -re:BORN-
第1章 プロローグ
「ちゃんと先生の言いつけは守ってるか?んん?高崎」
「あっ…あまり大きな声を出さないで…ください」
いくらひと気のない放課後の校舎とはいえ、まだ教室に残っている生徒がいるかもしれないし、グラウンドには部活を終えて一息ついている生徒たちが大勢いる。
そんな状況で、本山の声のボリュームはあまりに無頓着であった。
こんなところを、もし誰かに見られでもしたら──。
「──ウヒヒッ、まぁたしかに?学年一の優等生であるお前が好き好んで男子便所に入る変態女だなんてことが知られたら、学校中の大騒ぎになるもんなぁ?」
「すっ、好き好んでなんてっ…!わたしは先生に無理矢理っ…」
「まぁまぁ、そうなんでもかんでも真に受けるなって。冗談だろ?ったく、これだから優等生サマはよぉ」
そう言いながら、本山は不敵な笑みを浮かべ亜美のもとへじりじりと迫っていく。
亜美は反射的に後ずさりを試みるも、もともと壁を背にしていたため当然ながらそこで行き止まりである。
やがて本山の大きなガタイが、逃げ道を塞ぐかのように亜美の目の前に立ちはだかった。
こうして至近距離になると、より二人の身長差が圧倒的になる。
「学年一の優等生」
先ほど本山は、高崎亜美という少女のことをそう称した。
それは紛れもない事実であり、定期考査では全教科で満点を取るほどの輝かしい成績を修めている。
中高一貫であるこの学園に高等部から入学した亜美は、このわずか二ヶ月あまりの間に教師や生徒から一目置かれる存在となった。
主に中等部から進学する者が大半を占める特進クラスの成績優秀者らを差し置いて、ぶっちぎりのトップに立ったのである。
さらに抜きん出ているのは成績だけでなく、その容姿──。