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毒におかされた隊長は解毒のため部下に抱かれる
第15章 想い②
 情事の熱さとは違う、少し冷めた様な寂しそうな彼の表情。

 つまりそういうことなのだと、心が結論付ける。

(あれは……解毒。それ以上でも、それ以下でもない)

 全てを振り払うようにリースは水中に潜り、勢いよく飛び出した。静けさの中に、突然激しい水音が響き渡る。

 そばの岩陰で待っていたレフが、何事かと声をかけてきた。
 
「リース隊長、どうかされましたか⁉ とても大きな音がしましたが」

「……驚かせてすまない、何もない」

「それならいいのですが。でもそろそろ上がった方が……」

「……ああ、そうだな」

 部下の気遣いに対し淡々と言葉を返すと、ぽたぽたと前髪から滴り落ちる水をそのままに、リースはゆっくりと岸辺にあがった。

 レフがいる岩陰に背中を向けた状態で、濡れた身体を拭きながら口を開く。

「レフ、一つ言っておきたい」

 いつも部下の自分たちを叱咤する厳しい声が、レフの鼓膜を震わせた。反射的に彼の背筋が伸びる。

 背中にひんやりとした岩肌を感じながら、少し緊張した声で、彼女の言葉に答えた。

「……何でしょうか」

「あれは……、あの行為は、あくまで解毒だ」

 レフは何も言えなかった。
 彼女の言葉が何を意味しているのか、嫌と言う程伝わって来たからだ。

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