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あの時、あのBARで
第4章 BAR・エロス
「いらっしゃいませ。梓ママ、こちらのお飲み物は?」
鋭くも優しい視線に、まだうかがってませんと肩をすくめると、
「あ、すみません、えっと、カクテルで、えっと・・シ、シンガポールスリングで」
彼女のぎこちない注文の仕方に、紫苑がすかさず聞き返す。
「もしかして、ほんとはビールって、言いたいんじゃない?」
気持ちを読まれた、とばかりに目を見開く若い女性。
でた!紫苑の得意術、相手の心のうちを盗むかのように読み解く。
彼女は降参するように首をうなだれ、
「実はそうなんです。まずはビール、って言いたかったんですけど、
こういうバーでビールって頼んでいいのかなって。
もっとこう、シャレたお酒がいいかなって、
しったかぶりでカクテルを頼んでしまいました」
女性がうつむきながらもじもじしている間に、紫苑はビールをカウンターに置いた。
「そんなこと気にしないで、お好きなモノを飲んでください、ね?」
近い距離での紫苑の笑顔に女性客は顔を赤らめ、
私に目でほほ笑んでからビールに口をつけた。
鋭くも優しい視線に、まだうかがってませんと肩をすくめると、
「あ、すみません、えっと、カクテルで、えっと・・シ、シンガポールスリングで」
彼女のぎこちない注文の仕方に、紫苑がすかさず聞き返す。
「もしかして、ほんとはビールって、言いたいんじゃない?」
気持ちを読まれた、とばかりに目を見開く若い女性。
でた!紫苑の得意術、相手の心のうちを盗むかのように読み解く。
彼女は降参するように首をうなだれ、
「実はそうなんです。まずはビール、って言いたかったんですけど、
こういうバーでビールって頼んでいいのかなって。
もっとこう、シャレたお酒がいいかなって、
しったかぶりでカクテルを頼んでしまいました」
女性がうつむきながらもじもじしている間に、紫苑はビールをカウンターに置いた。
「そんなこと気にしないで、お好きなモノを飲んでください、ね?」
近い距離での紫苑の笑顔に女性客は顔を赤らめ、
私に目でほほ笑んでからビールに口をつけた。