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嘘の数だけ素顔のままで
第10章 孤立【2】
『みんなの掲示板』
痴漢OK娘:
〉不倫なうとかもう死語ですか? スーパー
〉の多目的トイレで待ち合わせ。
10/30. 14:49



 コトブキがこれを読んだのは家を出る直前だった。八時半はもうとっくに過ぎている。今から電話したんじゃ『先生』がうるさい、そう思った。無断欠席だった。


 茂木楽器店・駐車場に車が一台も停まっていないのを見てコトブキは不安になったが、エレベーターは動いた。扉が開くと真っ暗闇の通路にあの WELCOME のネオン管が煌々と浮かび上がっていた。よし! と握りしめた手が汗ばんだ。

 MALE のネオン管を横切り、OPEN のスチールドアを開けた。レールの継ぎ目を通過する音を聞いているうちに鼓動が速くなり、電車の前に立ったコトブキは呼吸が苦しくなるほど喉が渇いた。


 女のアナウンスが流れた。電車が減速していく。今のこの緊張が恐れなのか、それとも今度こそ宿願とも言える妄想のすべてを実行するんだという気の昂ぶりなのかコトブキは判別できなかった。指先が異常に冷たくて震えていることはわかった。


 再びアナウンスが流れたあとで電車のドアが開いた。緊張のあまりコトブキは両開きのドアの入り口で躓いて、しかも無理に足を踏ん張ったせいで床に転んだ。何人かの女が慌てて座席から腰を浮かせ、だいじょうぶですか、と声をシンクロさせた。


 顔を上げたコトブキは座席に並ぶ脚の多さに驚いた。コトブキが立ち上がっても先程声をかけたくれた女は心配そうだ。

 座席に浅く腰を掛けていて、いつでも立ち上がれるようにハンドバックを傍に置く者もいた。それを見て、コトブキの気持から気負いのようなものが少しずつ消えていった。

 扉が閉まるアナウンスが終わると、電車はじきに動きだした。


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