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マスタード
第2章 想い出の店
単身赴任先での奏の生活はなかなかハードなものである。

山の上にある宿舎から駅までは歩いて30~40分。
バスの本数がないので歩きか自転車になる。自転車だと行きは楽だが、帰りの登り坂はツラい。
帰りに飲み会があったりすることも多いので歩きで往復することも多い。

そして駅から電車で10分ぐらいの駅から歩いて15分ぐらいの所に学校がある。

なかなかハードな通勤ではあるが、山を降りて行くと海沿いの道を進むことになる。奏はこの海辺の景色が好きだし、毎日こんな景色を見られるのは何とも贅沢なことである。

吹奏楽部の練習もあるので帰りはそんなに早いワケではなく、暗い夜道、それも山道を歩きや自転車で行くのは中々心細いものがある。

赴任当初の吹奏楽部は覇気があまり感じられない集団だった。それもそのはず、楽器も演奏曲も与えられたもの、言い替えれば押しつけられたものだった。
奏は一度すべて白紙に戻して、それぞれの生徒がやりたい楽器を担当させ、演奏する曲も自分たちですべて決めさせた。

支配下にあって押しつけられるのはある意味楽なところもある。何も考えずに与えられたものをこなしていればいいのだから。

急に自由になった生徒たちは喜びが半分、戸惑いが半分といった様子であったが、自分たちで考えて相談をして決めたことを行っていくのはやる気にも繋がり、チームの雰囲気もよくなっていった。

部活が終わって宿舎に帰る時、奏は駅前のスーパーで安いビールテイストの酒と半額になった弁当を買って帰る。これが奏の晩飯である。
冷蔵庫の中にはビールテイストの酒とつまみしか入っていない。

ビールテイストを飲みながら奏はあるスナックのことを想っていた。
10年程前に奏は研修や大会の遠征で何回かこの街に来たことがある。
その時に先輩たちに連れられて行ったスナックだ。

『愛』という名前は覚えているのだが、その店がどこにあったかが思い出せない。
街の雰囲気が少し変わっているので移転したか、或はもうないのかも知れない。
でも、まだその店があるのなら行ってみたいと思って時々駅前を歩いてみたりするが、なかなか店は見つからない。

駅前のホテルに泊まって、そこから歩いて行ったはずなのに不思議と店の場所が思い出せない。

駅前の雰囲気もだいぶ変わってはいるが、そんなに見つからないものかと不思議にも思う。
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