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マスタード
第5章 抱擁
でも、なかなか愛美を求めてこない奏にもどかしさや寂しさを感じていた。

抱かれたいから奏と恋人になったわけではないし、40歳も過ぎているのにこんなに抱かれたがっている自分を淫らで情けないとも思う。
それに肌を奏に見られたくない気持ちもある。

そんな気持ちとは裏腹に奏と恋人になって長い眠りから目覚めてしまった女が激しく燃えていた。
やっぱり女として見て欲しいし、そうでないとちょっと寂しい。

「奏ちゃん・・あなたにはあたしがどう映っているのかしら。こんなおばさんじゃ魅力ないかな・・」

そう呟いてまだ唇に残っている奏の感触を指でなぞってみた。

奏もまた宿舎に戻って寝支度を整えると深いため息を吐いた。

初めてキスをした次の日に女性の店員さんにクスクス笑われながら調達したコンドームはまだ使えずに鞄に忍ばせたままだ。

自分は不器用で女の人を求めたりするのは得意ではないけど、求めたら許してくれそうだとは思う。

でも、そんなことのために愛美と恋人になったワケではないという思いが邪魔をして求めることができないでいた。

愛する妻と可愛い娘がいるという奏が求めていた幸せを愛美と陽葵は叶えてくれている。
このささやかな幸せだけで充分過ぎる。
悪妻と離婚もできずにちゃんと結婚できないのに愛美を傷つけるようなことをしてはいけないと自分に言い聞かせていた。

奏がいつものように店に行くと陽葵がつまらなそうにしていた。

「どうしたの?」

「幼稚園でね、パパが来てくれる行事があるの」と陽葵はか細い声で言った。

幼稚園では父親と餅つきやゲームをして遊ぶ父親参観日みたいな行事があるらしい。
星史の時もそういう行事があって休暇を取って行ったなと思い出した。

休暇を取れない父親もいるし、愛美のようなシングルママもいることを考えれば残酷な行事だとも思う。

奏はちょっと考えた。その日は授業も少ないから他の先生に代わってもらえば休暇が取れるかも知れない。

働き方改革とかで教員も年間に目標日数の休暇を取ることが義務づけられた。目標日数の休暇が取れないと怒られるし評価も悪くなる。
休暇は権利から義務へと変わっていた。
無理に休暇を取って職務に支障が出たり残業が増えたりということもあり、ある意味休めないよりもブラックになっていることもある。
そういったことは考えないのも愚かだとも思う。

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