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マスタード
第5章 抱擁
楽しい夕御飯の時間はあっという間に終わって陽葵はお眠になって奏に抱かれながら眠ってしまった。

「幸せそうな顔をして、よっぽどパパができたことが嬉しいのね」と愛美も嬉しそうに陽葵を寝かしつけた。

陽葵の布団からちょっと離れたところに愛美の布団があって枕がふたつ置いてあるので、愛美が奏を求めているのを悟った。

「奏ちゃん、今日はありがとう。そしてお疲れ様」
と言って愛美は目を閉じて唇を近づけてきた。

「愛美・・」

ふたりの唇がくっついて、唇を吸い合ったり舌を絡めたりと激しいキスが続いた。

「陽葵の父親とは生まれる前に離婚したって言ったでしょ・・」

愛美は陽葵の父親との離婚のことを話してくれた。スゴく優しくて陽葵の姉の美海のことも可愛がってくれていた。しかし、本性は体の関係だけを求めるとんだケダモノだった。

愛美が陽葵を身籠った時にガマンし切れなくなって本性を剥き出しにして当時小学六年生だった美海に襲いかかったのだ。

「なんてことを・・それで美海は・・」

「何とか無事だったわ。すぐに警察を呼んで捕まえてもらって・・離婚もしてあたしたち母娘には二度と近づかないような命令も出してもらったわ」

「無事だったんだね。よかった。でも・・」

奏の目から涙が溢れてきた。無事だったとはいえ小学生の少女が父親だと信じていた男に襲われるとは心の傷はどんなに深いだろうと思うと涙が止まらない。

陽葵を気の毒に思ったのは間違いだ。そんなケダモノと早く別れてくれてよかった。陽葵にだって何をするか分かったものではない。

涙を流しながらもそのケダモノに対する怒りがこみ上げてくる。

音楽活動という大きな目的はあったにしろ美海が東京に行ったのはその忌まわしい記憶から逃れるためだったのだろう。

「奏ちゃん・・泣いてるの?」

「美海もボクにとっては娘なんだ。娘が傷つけられたんだから・・」

「ありがとう」

奏の言葉を遮って愛美は再び激しいキスをした。
そしてTシャツを脱ぐと上半身は形のいいおっぱいがブラジャーに覆われているだけの姿になった。

キレイな体だけど横腹や背中に所々痣がある。
この傷ついた体を奏に見られたくなくて奏に愛されたいけどそれをガマンしていたのだ。

「驚いたでしょ、あたしの体・・」


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