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マスタード
第5章 抱擁
最初の夫、美海の父親はエリートのサラリーマンで、だけど嫌味なところは全くなくて優しくい好青年だった。

奏は動物園や水族館のことを思い出した。
確かに感じのいい男で愛美も美海も幸せそうに見えた。

だが、不本意な、所謂左遷という人事異動があったことを皮切りに出世は停滞した。同期や後輩にも先を越される焦りや不満から酒に溺れて愛美に暴力を振るうようになった。
愛美が殴られたり蹴られたりするのを見て泣きじゃくる美海にも怒鳴りつける始末。

このままでは美海にも暴力を振るうようになると意を決して家庭裁判所に訴えて何とか離婚にこぎつけた。当然のことのように慰謝料なんて払うような男ではなく、愛美や美海に接見禁止の命令に不満ばかり主張していた。

横腹や背中にばかり痣がある愛美の姿を見て、その男に対する怒りがこみ上げてきた。顔や腕などの目に見えるところには暴力を振るっていない。暴力が発覚しないようにするために見えないところばかりに暴力を振るったということだ。
何と卑怯で卑劣な男だろう。

「愛美・・」

奏は思わず痣になっているところに口づけて舌を這わせた。

「イヤだよね、こんな傷・・」

「イヤじゃないよ。痛いよね」と奏は泣きながら傷に舌を這わせていった。

何年も前の傷だから肉体的な痛みはもうあまりないだろう。だけど、襲われた美海のように心の傷の痛みは一生癒えることはないだろう。

「ごめんね、こんな話ばっかり。でも、抱いてもらう前に本当のあたしを知って欲しくて・・・」

「愛美・・」

奏も上半身を裸になって愛美を思いっきり抱きしめた。お互いの熱い体温を感じる。

「バカだよね、あたし・・そんな男ばっかり」

「そんなことない・・悪いのは優しくさや愛を仮面にしていた男たちだよ」

ふたりはまた唇を吸い合った。涙味がする深いキス。

「奏・・抱いて。あなたが全部を忘れさせて」

「愛美を愛してる」

奏は愛美のブラジャーを外して、ついに形のいいおっぱいの全てが露になる。少し色が濃くなっているが、キレイな乳輪にもう母乳が出そうなぐらいに大きくなった乳首がツンと勃っている。

「ごめんね、リサみたいにキレイじゃなくて・・」

おっぱいを露にされて恥ずかしそうにしている愛美は少女のように可愛い。


「キレイだよ、とてもキレイだ」

奏は口づけると首筋から胸へと舌を這わせる。
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