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マスタード
第9章 愛ふたたび・・
そういう時にオーダーするのはいつもマスタードが合うメニューになる。
愛美が自家製で作ってくれたマスタードにはとても及ばないが、『囲炉裏』にいるような気分には浸れる。

甘くて辛いマスタードは奏の人生の味のようでもあり、愛美と陽葵の思い出の味でもあった。

冬に取り残されたままの奏の心を置いてきぼりにして季節は移り変わり春がやってきた。
卒業生を送り出して生徒たちも春休みに入ると先生も交替で休暇を取って春休みを取る流れになっている。

1年生の頃から見てきた生徒たちが巣だって行くのはいつも感慨深いが、大きな寂しさも感じる。
新学期にはまた新たな気持ちで新入生を迎える。
この気持ちの切り替えのためにも春休みというのは大事である。

休暇の予定を決めるのにある程度は優先的に希望を言える立場になっていたので奏は終着駅の湯けむりの街でグルビーズのイベントがある日を選んで休暇を取った。

この湯けむりの街は昔からイベントやお祭りに出演してきたグルビーズにとって大切な街だとMCで言っていたのを思い出した。

星志も誘ってやったら喜んだものの、湯けむりの街の隣の街で推しさんのイベントがあるから、車でその街まで乗せて行って帰りは迎えに来いという素っ気ないものだった。

遠方の街だから諦めていたのだが、丁度同じ日程で隣の街に行くからラッキーだと喜んでいた。

一時休止していたGoToも再開しているので、元々低料金のホテルならタダ同然の格安で泊まれるし、屋外のイベントだから入場料もかからない。あまりに遠方だから在来線だけを使っても1万円近い交通費がかかるから諦めていたのだった。

仕方のないヤツだと思いながらも快く下道を運転して星志を送ってやることにした。
こうして星志を乗せて下道で長距離を運転すると、リサに会いに行くために星志と一緒にあの街へ行ったことを思い出す。

あの時は何も分からない小さな子供だった星志も今ではすっかり大人だ。まさかこんなオタクになるとは思わなかったのだが、その点については人の事は言えないなと苦笑して車を走らせる。

星志を降ろすと険しい峠を越えて湯けむりが見えてきた。

グルビーズはリーダーが30代、センターがアラサーとアイドルの中では年齢が高いが、子供の頃からやっているので断トツの活動年数やキャリアを誇る。




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