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BAR・エロスは今も・・
第1章 now・・
 私は私で紫苑と目を合わす。
修の妻はどういう意図があってそんな大胆な発言をしたのか。
最初はにわかには信じられなかったが、パートに出た、という辺りから
本当に浮気をしたのではないかと思い始めた。
だって、ありがちな浮気の舞台、ではないか、職場は。

 少しの間、3人とも黙ったままだった。
紫苑がロックグラスに琥珀の液体を注ぐ音が聞こえるほど、カウンターの端は静かだった。
「仮に浮気が本当だとして、柏木さんはどうするおつもりですか?」
沈黙を破ったのは紫苑だった。
自身で作ったバーボンのロックをちびりと喉に流し込みながら、修の答えを待っていた。
 修は、口元だけで笑みを作り、
「責めたりできないでしょ、彼女を。だって俺の方が先にやってたんだから」
と、私を見つめながら肩をすくめた。私も修の意見には賛成だ。
だって、自分の事は棚に上げて、というのは許されないことだから。

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