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BAR・エロスは今も・・
第5章 美紅 マッチングは突然に
店の様子はレースのカーテン越しに見える。紫苑の姿も確認できる。
音だってちゃんと聞こえるのだから、何かが起きても助けてもらえる。
少し臆病風が吹いてきたが、男の第一声を聞いて、なんだかホッとした美紅だった。
「よろしくお願いします」
男は丁寧に頭を下げながら交渉の幕開けを宣言した。こんなにも品の良い声と挨拶。
警戒心はするすると解け、美紅も本来の明るさを交えて返事をした。
「こちらこそ、よろしくお願いします。あの、私を選んでくださって、ありがとう。
えっと、いつから私のこと、見ていらしたんですか?」
「席についてすぐに」
男は恥ずかしそうに髪をいじった。
「僕、明るい女性が好きなんです。楽しそうにおしゃべりするような。
自分が話下手なもんで」
そんな風に見えないですよ、と持ち前の明るい声を弾ませ美紅は笑う。
その様子に、正直な気持ちなんだけど、と男は続けた。
「ベッドで・・しんみりムードって苦手なんです」